第10章 消えたココロ~アレクサンドリア~
タイチside.
「あんたらいったい何者だ? なんでダガーちゃんが捕まったことを知ってる」
さすがに説明もなしに得体の知れない奴らと行動するのは抵抗がある。
「こやつらは……自分と姫さまが昔少しだけ世話になったやつらである……敵ではない……一応」
スタイナーさんが歯切れ悪く説明してくれた。
その説明を補うように金髪の少年が口を開く。
「そうさ、オレ達も昔スタイナーのおっさん達と旅をしていたんだ。まあ、こっちも色々あって……旅の途中でダガーが処刑されるって聞いたんだ」
「姫さまが処刑される!? ワケの分からぬことを申すでない!」
「本当だよ、おじちゃん……」
俺らよりも一回り以上体の小さい少年は、まるで魔法使いが被るようなその大きな帽子を揺らしながらスタイナーさんへと近づいた。
その拍子に少年の顔の中が見えて俺は小さく息をのむ。
(顔が……ない)
「ブラネ女王がレッドローズに乗ってアレクサンドリアに帰ってきたら、おねえちゃんを殺してしまうんだって……ボク、聞いたんだ……」
「それは本当でござるか、ビビ殿!?」
スタイナーさんは少年の顔を一切気にすることなく、それどころかいたく信頼しているように少年へと問いかける。
少年のような、顔を黒い霧に覆われた種族もこの世界には普通に生活しているのか。
さすがにまだ慣れないな……。
「本当さっ! あと30分しかないんだっ! はやくダガーを見つけよう!!」