第10章 消えたココロ~アレクサンドリア~
ビビside.
ボク達は砂嵐が消えてしまった原因を探るため、幹へと下りてきていた。
クレイラの街へ向かうために昨日通った道だったけど、流れ続けていた砂が止まっていたからか、様子はかなり変わって見えた。
それに……
「やっぱり登ってきてるか……」
アレクサンドリアの兵士が攻め上がってきていた。
砂嵐が止まっている今がチャンスと思ったんだろう。
出会う兵士を倒しながら、ボクらは進む。
女の兵士を倒しながらボクは少しほっとしていた。
攻めてくる人達の中に自分に姿がそっくりな彼らがいなかったから。
何の感情も映さないような瞳で簡単に人々を攻撃する。
そんな彼らを見るのは……嫌だった。
「少し待ってはくれぬか、ジタン……」
フライヤがそう言って、考え込むように立ち止まった。
「先ほど出会ったアレクサンドリア兵のことじゃが……本気で襲ってくるにしては人数が少なすぎる気はせぬか?」
「そうだな……」
そうなの……かな?
ボクらは五分に二、三人の兵士と出会っている。
この人数が多いのか少ないか。
ボクにはよくわからなかったけど、
「オレもそんな気がしてたんだ」
ジタンがそう頷いたから、そうなのかもしれない。
「その通りだっ!」
加えてそれを強く肯定するように、背後から声が響く。
「イテッ!」
声の主はボクにぶつかりながら、フライヤの元へと急ぐ。
ボクが街から出るときに探しても見つからなかった。
その後ろ姿はパックだった。
「フライヤ! 街が大変なことになっているぞ! はやく街に帰ってくれ!!」
「しまった、やはり不安は的中したか! ただちに参ります!」
急いで街の方向へと踵を返すフライヤ。
「何やってんだ、オマエらも来るんだよ!!」
「よし、行こう!」
ジタンの視線に促されて、ボクも元来た道へと走った。