第10章 消えたココロ~アレクサンドリア~
ジタンside.
曲も終盤にさしかかった頃。
ぷつりと、ハープの音が止まった。
「弦が切れた……不吉な……」
演奏をしていた巫女が困惑したように台座から降りたときだった。
外を流れていた砂嵐が光る。
しばらく後、まばゆいほどの光がおさまり目を開けるとそこに砂嵐はなかった。
「驚いたな、砂嵐が消えちまったぜ! 砂嵐が強まるんじゃなかったのか!?」
「私には判らぬ……」
呆然と外に広がる青空をみつめる。
「このようなことは、我々がクレイラへ移り住んでから無かったことです」
「古来より、我々は魔力を持った石をハープに取り付けて……そして、その魔力を持った石の力で砂嵐を制御してきたのですが……」
言われるまで気にとめなかったけど、確かにハープの上部で赤い宝石が輝いている。
「何者かが、この結界を破ろうとしているのかもしれぬな」
「わたくしも、そうではないかと恐れていたところです」
「敵が幹から上がって来なければ良いのだが……」
誰もが、不安な表情を浮かべて現れた青空を見つめていた。