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王女様に祝福を【FFIX】

第9章 眠らない街~トレノ~




「それそれ、それでございます。それを引いて、ガルガントを止めれば……」


壁に取り付けられたレバーを動かすと、ガシャンとどこかで物音がした。

すぐ横に何か籠のようなものが下りてくる。

そこにちょうどよくガルガントがやってくると、その籠の前で急停車した。

籠を……食べてる?


「お急ぎ下さいませ。エサを食べ終わりましたら、また走り出してしまいますぞ」


そっか、この籠の中にエサが入ってるんだ。

トット先生に促されるままに私達はトロッコの乗り口までやってくるけど、これに乗るのはちょっと勇気がいるね。

ちゃんとアレクサンドリアまで行けるよね?


「ほんとに大丈夫なの? それにまたまわりをグルグル回りはじめるんじゃ?」

「今度はわたくしが連結変換いたしまして、ロータリーの外に出します」


うーん、まあ乗るしかないよなぁ。

せっかくトット先生が用意してくれたものだし。

何より他の移動手段を探す時間が今の私達にはおしい。

私達が次々にトロッコへ乗り込むなか、トット先生がスタイナーへと声をかけていた。


「スタイナー殿、姫さまを頼みましたぞ」

「もちろんであります!」

「よいですかな? 姫さまは成長なされたとは言え、まだお若い……やはり不安は残ります。スタイナー殿、健やかなる判断を持って、行動して下され」

「自分は一介の騎士、分を越えた判断は……」

「なさらぬと言いますか?」


トット先生の穏やかな声に固さが混じる。

少し咎めるような声色で先生は続けた。


「スタイナー殿……おわかりか? それは何もしないという判断をしているのですぞ」

「……肝に銘じるであります!」


スタイナーはびしりと敬礼するとトロッコに乗り込む。

それをトット先生は優しそうな眼差しで見ていた。


「それでは姫さま! しばしのお別れにございます!」

「トット先生……お元気で!」


ガルガントがグゲェ~と鳴き声を上げる。

トロッコが動き出し、ロータリーと共にトット先生も遠ざかっていった。


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