第9章 眠らない街~トレノ~
それからも現れるモンスターを倒しながら私達は進んでいく。
設置されたレバーをいじったり、一回ホールに戻ってもう一方の道に進んだり。
かと思えばまた元の道に戻ってきたり。
視界が悪いから、なかなか思うように事が進まない。
行ったり来たりを繰り返して、ようやくお目当ての装置を発見した。
「おお、これでございます。これでガルガントを引き込むのです」
「引き込む?」
「そうです、ここガルガン・ルーのトレノステーションは、全体で大きなロータリーになっております。そこのレバーを引けば、やって来たガルガントがこの周辺を回り続けることになるのでございます」
まずガルガントがどういうものなのかがわからない。
話の流れ的に、乗り物なのかな……?
「ロータリーとか、ガルガントとか、よくわからないのだけど……」
「わたくしが説明しはじめますと長くなりますからな……まずはそこのレバーをお引き下さいませ」
目の前にぶら下がる、鎖に取ってがついたようなものを引くと、どこからか鳴き声が聞こえてゴトゴトと物音が近づいてきた。
『え!?』
「な、何なのあれは!?」
現れたのは茶色の生き物。
逆さ向きになって根を這ってやってくるその生き物には、人が乗れるようにか小型の船のようなものが取り付けられている。
「時刻もピッタリでございましたな! あれがガルガント、根をつたう巨大な虫を使ったトロッコにございます」
ガルガントと呼ばれる茶色の生き物は、私達の横をけっこうなスピードで通り過ぎていった。
行っちゃったけど……
まさかこれに飛び乗れだなんて言わないよね?
それは杞憂だったようで、トット先生は「次はガルガントを止めませんと……」と頭を悩ませはじめた。
ここにくるまでに色々な装置を見てきたし、そのうちのどれかがそうなんじゃないかな。
手っ取り早く一番近くの装置に行ってみると、トット先生は表情を明るくさせた。