第9章 眠らない街~トレノ~
ガイア儀から出ると、暇を持て余していた三人がこちらを見上げた。
長く話し込んで、ずいぶん彼らを待たせてしまったようだ。
「こういう日もくるかと思い、古い機関を改良し、保存しておきました。こちらです」
トット先生は部屋の奥に進むと、床に設置された金属の扉を持ち上げる。
「おお! 我らがアレクサンドリアに戻ることができるのですな!?」
駆け寄ってくるスタイナーと一緒に覗き込むと、開いた穴には壁にハシゴがつたっているようで、これで下におりていけるようだった。
底は……暗くて見えない。
「タイチも一緒にアレクサンドリアまで行くのよね?」
「ああ、悪いな」
「俺も行くっス」
後ろからお兄ちゃんとマーカスに声をかけられると、それに反応したスタイナーがガシャリと立ち上がる。
「タイチ殿はともかく、なぜ貴様がついて来るのだ!」
「アレクサンドリアからなら、石になった兄キの所に行けるっス」
「いいわ、それじゃいっしょに行きましょ」
ダガーが皆を見渡してから「いいわね、スタイナー?」と言うと、スタイナーは悔しそうに唸った。
「ブランクも……そして、お母さまも、元に戻してあげなきゃ!」
『それにレイナもね』とダガーは心の中で呟く。
何とも言えない温かい気持ちが広がる。
うまくいってほしい。
アレクサンドリアに行って、ブラネ女王とのことがうまくいってほしい。
本当に、心からそう思う。