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王女様に祝福を【FFIX】

第9章 眠らない街~トレノ~




「もう8年前になるのかしら……」
 
「月日が流れるのは早いものですな……」
 
 
ダガーとトット先生はガイア儀の中で昔話に花を咲かせていた。

あたりまえのことだけど、私がやって来る前からダガーはこの世界で生きていたわけで、私の知らない二人の思い出がある。

ずっとダガーの家庭教師を務めていたんだから、それこそ信頼関係だって厚いんだろう。
 

「わたくしは相も変わらずこのようなものを集めたり、研究したりしておるのですが」
 
「このガイア儀は?」
 
「古い品でしてな……このように壊れておるのですが、これもまた粋かと思い、改造して天体観測のための施設として使っております」
 
 
ガイア儀の内側には、おそらく星を観測するための古風な器具がとりつけてあった。

地球の望遠鏡とは形が違うため、実際に望遠鏡の役割を果たすものなのかは覗いてみないとわからないけど。
 

「ガイアの中から空を見る……なかなか悪くないものですぞ」
 
「そうね……」
 
「姫さま……何があったかあれこれお聞きするたもりはないのですが……今でもこの老いぼれは、姫さまの味方でございます」
 
 
トット先生は被っていたシルクハットを脱ぐと、両手で握りしめる。

 
「もし何かお困りなら、微力ながら姫さまの手助けをしたいと思っております……」
 
「トット先生……」
 
 
ダガーは、ぎゅっと口元を結んだ。
 

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