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王女様に祝福を【FFIX】

第2章 家出騒動




長い長い階段のてっぺん。

そこは見張り台になっているのか、ドアを開けると新鮮な空気がローブを強く揺らした。

見晴らしがよく、劇の舞台もここから見える。

後ろからは相変わらず例の男が追いかけてきていた。


どうしよう、行き止まりだ。

ごめんね、ガーネット。

私が不甲斐ないばかりに。
 

『いえレイナ、これはチャンスです』


思いがけないガーネットの言葉。

チャンス?

ピンチはチャンスって言うけど、さすがにこの状況じゃあ無理がある。
 

『そこに劇場艇から伸びている飾り紐があります』

「うん」

『それに掴まって、劇場艇に飛び移りましょう』
 
「ええっ!?」


ガーネットの言う通り、石造りの塀には劇場艇へと紐が繋がっていた。

運動会のときに国旗とかがぶら下がっているような、そんな紐だけど。

飾り紐ってこれのことだよね?

確かに頑丈そうではあるけど……

え、これであの船に飛び移れって?

船までは短く見積もっても20メートルはある。

ひゅおっと風が通り抜けた。

むりむりむり!
 

「そろそろ、観念してくれたかい」
 
 
あのイケメンくんが、すぐそこまでやってきて言う。

ああ、迷ってる暇はないのか。

ここすごく高いけど、これもガーネットのためだ。

うん、ガーネットのため……

やるしかない!!
 

私は石造りの塀によじ上ると、後ろ手に紐を持った。

夜風が着ているローブの裾をパタパタとはためかせる。

驚きに目を見開いた彼と目が合って、私はぎゅっと瞑る。


下を見ないように。

息を吸って、吐いて、また吸って。


えーい、女は度胸!

 
私は塔から飛び下りた。

 
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