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王女様に祝福を【FFIX】

第8章 遭遇




「か、はっ……!」
 
 
内臓に強烈な圧迫を受けて、現実に引き戻された。

肺の中の空気が口から一気に吐き出ると、壁に打ち付けられたダガーは地面に崩れ落ちる。

ポタリ、乾いた地面に垂れるのは鈍い赤。

こめかみがずくずく痛む。

気絶するほどの打撃だった。

たぶん、軽く脳震盪も起こってる。
 

それにこの感覚、こんな時に限って……身体の主導権が私に入れ替わってる。

 
「はっ……ハァ……」
 
 
どうしよう……呼吸がまともにできない。

魔法を唱えようにも、呪文が口の上を滑る。

声が出ない。

 
『レイナ、前!!』
 
 
ぼやける視界。
 
遠くで3号が手のひらに巨大なスパークを作っていた。

最後のトドメで、いたぶるように雷を作るところは変わっていない。

動かなきゃ……わかっているのに、体が動いてくれない。

 
「ハァ……はっ……」
 
 
どうしよう、動かない。

声、出てよ。

どうしよう、死ぬかもしれない。

あれをくらったらヤバい。

体、動かない。

どうしよう……。

こんなところで死ぬわけにはいかないのに。

 
『レイナ!!』
 
 
ダガーの焦ったような声が聞こえる。

 
うん、わかってる。

 
霞む意識の中で、どうにか地面に手をついて手のひらから腕にかけて力を入れる。

ぶるぶると震える腕に叱咤をかけるけれど、身体を持ち上げるには至らない。
 

禍々しいほどに強烈な光を放つ雷。

絶望感に押しつぶされそうだ。

こんな時に思い浮かぶのは、やっぱり彼。

いつも助けてくれた……ジタン。
 

ジタンはもういない。
 

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