第2章 家出騒動
えっと……私の聞き間違いかな。
このイケメンの兵士、いやお兄さん、今なんて言った?
もしかしてだけど、これがナンパってやつ……?
軽いカルチャーショックを受けていると、クリッとした青い瞳と視線がぶつかる。
「……っ、あの、たぶん人違いだと思うので……」
うわ、瞳の色きれいだ。
俯きながら、もう行ってしまえとやや強引に体を進めるも、「ちょっと待った!」と相手もやや強引に道を塞ぐ。
どうしよう……
そこで、自分の今の容姿が絶世の美女であることを思い出した。
それでか、と納得する一方でハタと気づく。
美人だって気づいているってことは、顔を見られているってことだから……
ガーネット姫だって気づかれるんじゃあ……!?
アワアワと焦っている私に気づいてるのかいないのか、イケメンくんはさらに言葉を続けた。
「オレ達、どっかで会ったことねえか?」
ひいっ!!
「いや、あの、全然……」
私が首を振って必死に否定するも、男は私の周りを「そうかなあ……いいや、オレがこんなカワイイ子、見逃すわけがないんだけどなあ……」と見回すように歩く。
「もしかして、君は……」
ふと見れば、仲間っぽい人まで階段を上ってきている。
『レイナ、逃げましょう!!』
ガーネットの言葉を引き金に、私はグイッと一層深くフードを引っ張った。
「あ、あの……ごめんなさいっ!!」
そして、捨て台詞を吐きながら男達の間を縫って、その階段を駆け下りる。
去り際、後ろから「今のが、ガーネット姫だっ!!」と声が聞こえてきた。
やっぱりバレてる!!