第2章 家出騒動
事前に決めた予定通り、劇場艇に向かう前にブラネ女王の私室へと向かう。
そこにある、銀のペンダントを拝借するのだ。
ガーネットの指示に従って部屋を探れば、すぐに純白に輝く宝石の付いたペンダントを見つけた。
石の中で光が複雑に反射していて、とてもきれい。
「でも、なんでこのペンダントが必要なの?」
『我がアレクサンドリアに代々伝わる物なのですが、リンドブルムに着いたときそれで身分証明ができますから』
なるほどね。
ちょうどいいので首からぶら下げて持っていくことにした。
忙しそうに走り回る女兵たちを横目に、今度こそ劇場艇を目指して廊下を進む。
誰も私がガーネット姫だなんて気づいていないみたい。
そうほくそ笑んでいれば、あっという間に王族の私室とを仕切る大きな扉に着いた。
ここを抜ければちょっとは気が抜けるかも。
はやる心を抑えて私は扉を押し開けると、吹き抜けの通路に出た。
『そこにある階段を下りて行きましょう』
吹き抜けの通路には、右側に下り階段がある。
あそこだね。
それにしても、本当に誰も気づかない。
この調子なら劇場艇に忍び込むのもなんとかなるかも。
そんな具合いに危機感が薄れていたからだろうか。
私達が下りようとしていた階段。
そこから上ってきた男兵と、私はぶつかりそうになってしまった。