第7章 交差する思い〜リンドブルム〜
「ダガー……今、目の前で死んだ、ブルメシア兵を見てどう思った?」
「……かわいそう、って……」
「そう、かわいそう、だ……そう思うのは悪いことじゃないさ。けどダガーはまだこう考えられない……“自分もこうなるかもしれない”って……お母さまを説得するなんて、そんなこと言ってられる状況じゃないんだ」
戦争というのがいったいどういうものなのか、平和な地球で暮らしていた私は、全くもってわかっていないんだと思う。
それはたぶん、ダガーもそうなんだ。
彼女の中では、ぐるぐると気持ちが渦を巻いている。
ぐるぐる、ぐるぐる渦巻く中で、浮上してきたのは王女としての使命感だった。
ダガーは「でも!!」と否定の言葉を放つ。
「まあまあふたりとも……今は言い争うべき時ではないブリ」
「大公殿の言う通りじゃ、早くブルメシアに向かわねば」
フライヤさんは急くように言う。
「地竜の門を開いてもらえぬか?」
「うむ、歩いて行くのならば、あそこから出るしかないブリな。では、地竜の門が開くのを待つ間、腹を満たしていくといいブリ」
ダガーとジタンの間に流れる空気はぎこちないまま、一旦この会はお開きとなった。