第7章 交差する思い〜リンドブルム〜
俯いていたビビは決心をしたように顔を上げた。
「ボクも一緒に行く。自分の目で見たいから……」
「……わかった」
ビビも複雑な心境だろう。
ジタンもそれを汲み取ったのか、特に反対するようなことはしなかった。
さて、ダガーはどうするのか、と私が尋ねるまでもなく、彼女は「すぐに出発しましょう!」と皆を見回した。
「姫さま! 危険であります!」
「スタイナー殿の言うとおり! それに、まだ相手はわからんブリ」
スタイナーとシドさんの反対はもっとものことだろう。
フライヤさん達がこれから行こうとしている場所は戦場なのだから。
「でも、黒魔道士たちだとすれば……あなたもわかっているはずよ、ジタン?」
ダガーがジタンに同意を求めれば、彼は黙り込んでしまう。
もとより私はダガーに反対する気はない。
私も黙ったままジタンの答えを待つ。
ダガーは急かすように再び口を開いた。
「いますぐ侵略をやめさせるように、お母さまを説得してみせる!」
「……危険だとわかっている場所に連れていくことはできない……」
「ジタン!?」
「リンドブルムに残ってくれ」
ジタンは悩んでいた顔を上げ、こちらをまっすぐに見つめる。
「どういうことなの!? 危険なところなのはわかってるわ!」
「わかっちゃいないよ、ダガーは……戦争なんだぞ? 人が死ぬんだぞ?」
「そんなこと……!」
わかってるわ、というダガーの言葉は、目の前で眼光を鋭くさせたジタンの前にしぼんだ。