第7章 交差する思い〜リンドブルム〜
亡くなったブルメシア兵はリンドブルムで埋葬されるらしい。
リンドブルムの兵士達によって運ばれすでにここに亡き骸はなくなっていたが、床に残った血の跡が彼の死を忘れさせてくれなかった。
「どうなさるおつもりで?」
口火を切ったのはオルベルタさんだ。
「狩猟祭で城にはわずかな兵士しか……飛空艇団を動かすには足りませぬぞ」
さきほどシドさんが発した「ブルメシアへ援軍として飛空艇団を送る」との言葉への議論だ。
シドさんはしばし熟考すると、一つ決断するように頷く。
「国境に配備した飛空艇団を呼びもどすブリ」
「アレクサンドリアから目を離されると?」
「うむ、ブルメシアを見殺しにはできん」
シドさんと共にアレクサンドリアへ赴こうとする矢先での出来事だ。
これでは当分、ダガーとの約束が果たされることはなさそうだったけれど、それより……。
「とんがり帽子か……ビビと同じ黒魔道士かもしれぬ」
戸惑いなくそんな言葉を呟いたのはフライヤさんだ。
ビビが「そんな……」ととんがり帽子を揺らす。
「お母さまがブルメシアを……?」
ブルメシアを襲ったのは、とんがり帽子の軍団。
ダリ村の地下で見たことも鑑みれば、アレクサンドリアがブルメシアを襲ったということは十分に考えられることだった。
おもむろにフライヤさんはその身をひるがえす。
「私は失礼する。飛空艇団を待ってはおれん」
「オレも行くぜ、フライヤ!」
「ありがたいが、ジタン、おぬしには関わりのないことじゃ」
「仲間の故郷が攻撃されてるんだ。これを聞いてだまっていられるか! おまえがイヤでもオレは行くぜ!」
ジタンの熱に押し負けたのか、フライヤさんは被っている細身のヘルムに手をやると、「すまない……」とこぼした。