第7章 交差する思い〜リンドブルム〜
「ややっ、あれはザクナルではないか!」
ふと隣にいたスタイナーが一際大きな声を上げた。
彼の指さす先を見ると、商業区にある広場に他のモンスターとは一線をかすような、図体の大きいモンスターがいる。
「あんなものまで街に放つとは……この国もなかなか大胆なことをする」
しかしよく見てみれば、地響きのするようなモンスターの足元に小さい影が二つあることに気づく。
「子ども!? 逃げ遅れたのか!?」
兵士さんも慌てたように橋の手すりに身を乗り出している。
こんな時のために、リンドブルムの兵士達は各ポイントに配置されているらしいけど、モンスターは今にも子ども達に襲いかかりそうだ。
ここまでモンスターの咆哮が聞こえてくる。
お願い、間に合って……。
観客の皆が祈っていた。
そんな時だった。
モンスターの後ろから攻撃をする者がいた。
「ジタンだわ!!」
颯爽とした金髪に揺れるしっぽは遠目でも間違いようがない。
ジタンだ。
子ども二人に向いていたモンスターの身体がジタンを振り返るが、その様子は怒っているようにも見えた。
ジタンがのけぞりつつも、何事かしゃべると子ども二人が建物の方へ逃げていく。
よかった……。
心の中で安堵のため息をつくと共に、心がきゅんとおどる。
やっぱり、ジタンはかっこいい。
ピンチに現れるなんて、漫画のヒーローみたいじゃないか。
助太刀と言わんばかりに現れたフライヤさんと一緒にジタンはザグナルの討伐にかかるけれど、その様子を観客達はよりいっそうの興奮で応援していた。