第7章 交差する思い〜リンドブルム〜
ダガーとスタイナーは兵士さんの案内に従って、橋の上のような場所に来ていた。
人が多い。
すでにこの橋の上から、今さっき始まったばかりの狩猟祭に賑わっている人は多かった。
「姫さまをこのようなゴロツキどもと立ち見させるとは、まったく無礼である!」
スタイナーが横で憤っているけれど、仕方ない。
たぶんここは、観戦にはもってこいのポイントなんだろう。
それに皆で試合を観る、みたいなこういう雰囲気はけっこう楽しい。
なんだか、周りの熱気におされて私もわくわくしてきた。
「でも見て、すごい眺めよ!」
「ほお、たしかにこれは絶景! 城下町が一望できるではありませんか!」
スタイナーが嘆息しているように、確かに眺めはよかった。
街中のあちこちを点々とモンスター達が駆け回っているのがよく見える。
その中には私が旅で戦ったことのあるモンスターも混じっていて、あの紫色の身体をしたリス型の……確か、ムーっていうモンスターなんかは、頻繁にジタンが斬り倒していた気がする。
「姫さま! あそこをごらん下され、ビビ殿がおられますぞ!!」
「えっ、ビビが……? あんなにいやがっていたのに……」
ビビ、出ることにしたんだ。
リンドブルムは商業区、劇場区、工場区と三つのエリアに分かれており、ビビはその商業区にいた。
「ビビ殿、姫さまも応援しおりますぞ〜っ!」
「ビビ、がんばって〜!」
ダガーが「フレー、フレー!」と応援していると、建物の間を走っていたビビが突然現れたモンスターのタックルを受けて転がっていった。
「いかん! ビビ殿!!」
『わっ、危ない! ビビ!!』
「……いやだ、もう、見てられない!」
ダガーが覆ったことで視界は暗くなったけれど、スタイナーの熱のある声は鮮明に届いてきた。
「逃げてばかりでは勝てませぬ! 相手は獣、攻撃こそ最大の防御ですぞ! ジタンなんかに絶対に負けてはなりませぬっ!!」
あっ、本音もれてる。
それから、スタイナーは「そう、そこっ」だとか、「そこでもう一撃っ!」とか熱のある観戦を続けていた。