第7章 交差する思い〜リンドブルム〜
「ビビ選手は何にしますか?」
「え、えっ! ボクも出るの!?」
兵士さんの突然の言葉に、驚いたのは私だけじゃない。
「おまえならイイ線いくと思ってオレがエントリーしといてやったんだ。黒魔法があればどうってことないって、なっ?」
ジタンが勝手に申し込んだことらしい。
なんてことだ。
「で、でもぉ〜」
ビビは激しく唸っているけど、モンスターと戦うことになるんだから当たり前だよね。
やり取りを眺めていたフライヤさんは「相変わらず勝手じゃな」と息を吐き出す。
出てきた軽口から、ジタンと顔馴染みだと言うのは本当なんだ、と私は場違いなことを考えた。
「そうだ!」
ジタンは声を上げると、ビビの耳元で何事かしゃべる。
ビビはすぐに驚いたように跳ねた。
「お、お姫さまとデート!?」
「むむっ! なんだ、今、姫さまがどうときこえたぞ!」
素早く反応したスタイナーがガシャガシャと階段を下りる。
ジタンに「またなにかよからぬことを!」と詰め寄れば、彼は慌てるように視線をビビに向けた。
「なんでもないって、なあ、そうだろ、ビビ?」
「う、うん!」
ビビがこくこくと頷けば、スタイナーはあっさり引き下がる。
スタイナーにはそういうところがあった。
ビビのことは信頼しているのだ。
私はというとジタンがダガーとのデートを引き合いに出しただろうことに少しムッとしていたのだけど。
兵士さんが再びビビへと視線をやった。
「どうなされますか?」
「あっ、じゃあボクはカードを……」
「わかりました。ギル、アクセサリにカードですね」
これで前準備は終わりだというように、兵士さんは大きくひとつ頷いた。