第7章 交差する思い〜リンドブルム〜
「息抜きも必要であります!」
スタイナーはベッドに腰掛けていたダガーに、そう声をかける。
立ち上がり客間を見渡せば、階段の下にはすっかり見慣れた護衛さんだけでなく、ビビと、それから赤い服に身を包んだ女の騎士さんがいた。
今日は噂の狩猟祭当日。
窓から城下町を眺めれば、どこもそわそわと落ち着きのない騒がしさがあった。
リンドブルムの城下町はいつも賑やかではあるけれど、今日はいっそうの明るさをまとっている。
「わっりぃ、わりぃ! ちょっと準備をしててさ」
客間にパタパタとやってきたのはジタンだ。
ようやくの到着に一同が腰を浮かせる中で、護衛兵士さんが口を開く。
「では、そろったところで、狩猟祭のルールをご説明しましょう」
リンドブルムまで旅を共にしてきた面子が集まるのは久しぶりのことだった。
今ここに彼らが集められたのは、彼らが狩猟祭に参加するからだ。
彼らというのは、ジタンと、赤い服を着た女の騎士フライヤさん。
フライヤさんはブルメシアの元騎士らしく、行方のしれない恋人を探すべく旅をしているらしい。
腕利きのそろう狩猟祭に今回参加するのも、そのためなのだとか。
ちなみにジタンと顔馴染みのようで、そのためこの場に呼ばれている。
兵士さんの説明によると、狩猟祭とはリンドブルムの街中にモンスターを放って、そのモンスターを参加者が倒していくものらしい。
大きな獲物を倒せば、その分もらえるポイントも高く、制限時間内で最もポイントを稼いだ人が優勝。
優勝者には“望みの品”とハンターのしょうごうが与えられるそうだ。
このハンターのしょうごうは、いわゆる賞状とかトロフィーみたいなものだとして、この“望みの品”っていうのは……。
「“望みの品”はもうお決まりですか?」
一通り説明の終わった兵士さんがジタンとフライヤさんをうかがうと、ジタンが「ああ」と頷いた。
「オレはやっぱギルだぜ!」
「私はアクセサリにしようか」
フライヤさんも続けて答える。
彼女の言うアクセサリは、いわゆる付加効果のついた戦闘時役に立つアクセサリーのことだろう、と以前ダガーからその知識を聞いたことのある私はあたりをつける。
優勝者に城から景品、それも本人の望む物を与えるだなんて……この祭りはなかなか盛大なものなのかもしれない。
