• テキストサイズ

王女様に祝福を【FFIX】

第7章 交差する思い〜リンドブルム〜



ガーネットside.



「なあ、ダガー……飛空艇でのクルージング、いつにする?」


ジタンから出た覚えのない言葉に、わたしは再び首を傾げる。

彼も「あれ……?」と少し考えると、すぐに何かを思い出したようで、あっと声をもらした。


「そうだ、それは酒場の子に……!」


彼がサァッと顔色を悪くさせているのを見て、わたしはほぅと目を細めた。

ジタンには少々女性好きなきらいがある。

飛空艇のクルージングなるものも、おおかた他の女性を誘ったことなのだろう。


「わたしには関係のないことのようですね」


わたしが少々呆れを含ませて言えば、ジタンは「ちょ、ちょっと待った!」と手を振った。


「あら、わたしは全然気にしていませんよ。楽しんでらっしゃればよろしいじゃないですか」


わたしがふいと言いやれば、ジタンは「あ〜〜〜」と肩を落とす。

言葉尻がキツくなってしまうのも仕方ないでしょうね。

彼の垂れ下がるしっぽを見て、内心ため息をつく。


「……んーよしっ、じゃあ、狩猟祭でオレが優勝したらデートしよう!」


ジタンが跳ねるように顔を上げた。


「そんなことわたしとは何の関係も……」


彼のデートの誘いを即座に否定しようとして、うん? と考え直した。

そうだわ、レイナが彼のことを気にしているようだったではありませんか。

わたし自身、恋心に敏感な方ではないと思うけれど、彼女が抱いたあの気持ちは……きっとそうよね?


『うぇえ!?』


突然話題に昇った本人は、すっとんきょうな声を上げた。

それにクスクスと笑うと、わたしはひとつ頷く。


「そうね、わかったわ。ジタンが優勝した時には、そのデートというものをしましょう」

『ダガー……!』

「本当か? よし、約束だぞ、ダガー!!」


レイナと入れ替わったときに、ジタンとデートすればいいのだものね。

これはいいことをしたわ、と自分の口角が上がるのを感じた。

『私はするとは……』とか何とかゴニョゴニョ言うレイナに、さらにわたしの心は弾む。

さっきまでの沈んでいた気持ちが嘘のようだった。

やっぱりわたしは二人に元気づけられるのだ。


「……ありがとう」
 

びゅおっと通り過ぎる風に紛れて、わたしは小さく呟いた。
 
 

/ 389ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp