第7章 交差する思い〜リンドブルム〜
ガーネットside.
ジタンは一瞬ほうけたような顔をすると、「ああ」と合点したように口を開けた。
「ダリ村でも言ったけどさ、君を助けたい、オレ自身がそう思ったんだ。誰かに頼まれたわけじゃない。シドが依頼人だなんてオレは知らなかったさ」
「……ジタン、ありがとう」
その心強さにわたしがお礼を言えば、彼は照れくさそうに笑った。
そういえば、とわたしは尋ねる。
「でも、どうやってわたしを誘拐するつもりだったの?」
「スリプル草で眠らせて誘拐するつもりだったんだ。子ども用の薬草なんだけどさ、大人でも多めに飲めばおねんねさ」
「でもわたしのほうから来たから、その薬も必要なくなっちゃったのね」
わたしは少し考えると、ジタンの顔をうかがうようにのぞき見る。
「よかったらその薬草、少しわたしにわけてもらえないかしら? ここ数日よく眠れないの……」
「薬なんかに頼らないほうがいいぜ。なんなら、オレが添い寝してやろうか?」
「あら、わたしはそんなに子どもじゃないわ」
「いや、だから言ってるんだけどさ……」
わたしが首を傾げていれば、ジタンは「あっ、な、なんでもない!」と慌てるように視線をそらした。