第7章 交差する思い〜リンドブルム〜
ガーネットside.
近くで見ると、その望遠鏡は巨大なビンをそのまま横に転がしたような形をしていた。
ビンでいうところの注ぎ口へジタンは顔を近づけると、筒の方向をあっちこっちへ滑らせる。
「ねえ、わたしにも見せて」
「ああ、もちろんさ」
ジタンから受け取った筒の先を目元に押し当てると、ぼんやりとした緑が映った。
やがてピントの合った緑を上へ動かせば、山の中腹に数隻の船が集まっているのが見える。
『あれは……南ゲートかな? シドさんが言ってたとおり、もう修理が始まってるんだ』
レイナの声に、おじさまとの約束を思い出す。
“ゲートがなおったら、一緒にアレクサンドリアへ行くブリ”
わたしはそれを望んでここまで来た……けど……。
おじさまは全て知っていた。
タンタラスの人たちに誘拐を依頼したのもおじさま。
わたしだけの力では、きっとここまで来れてなかったわ。
……わたしがいくらがんばっても、みんなはいつも一歩先にいる。
「どうだい、よく見えるだろ?」
ジタンの声に振り向くと、彼の笑った顔がみえた。
わたしに元気がないから、きっと彼にも気を遣わせている。
「……どうかしたのか、ダガー?」
わたし、みんなに迷惑をかけてるのかしら。
ぎゅっと自分の手を握りしめた。
「ジタンは……わたしの誘拐がおじさまから依頼されたものだって、知ってたの?」