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王女様に祝福を【FFIX】

第7章 交差する思い〜リンドブルム〜



ガーネットside.



『わぁ……ダガー、歌上手だね』

 
レイナの声でハッとした。

気づかないうちに、わたしは歌っていたらしい。


『この歌、不思議な感じのする歌だけど、この世界で流行ってる曲なの?』

「えっとね……たぶん、あまり知られている歌じゃないと思うわ。それに、わたしもこの歌のことはよくわからないの。いつ、どこで覚えた歌なのか、どういう歌なのかも」


照れ隠すように、わたしはさらに続けた。


「でも昔から悲しくなった時はこの歌を歌うとなんだか暖かくなって……わたしはひとりじゃないんだ、だから頑張ろうって気持ちになれるの」


わたしがそこまで一息で言ってしまうと、レイナは『そっかぁ……不思議な歌なんだね』となにやら感心するように呟く。


『ねぇ、もう一回聞かせてよ。なんだか聞いてると、すごく暖かい気持ちになる』


少し気恥しい思いはあったけれど、レイナのその言葉にまったく嘘は感じられなくて、わたしは再び口を開いた。



こつりこつりと足音が聞こえたのは、歌も終盤に差しかかかる頃だった。


「きれいな歌だな……」


聞き覚えのあるその声に、歌うのをやめてわたしは振り返る。

驚くことに、そこに立っていたのはジタンだった。


「どうやってここまで来たの……?」


彼が最上層に来ることを許されたとは考えにくい。

それなのに、なんで? と首を傾げていると、ジタンはイタズラっぽい笑みを浮かべた。


「こんなことなら、あさめし前さっ!」
 
 
そういえば、ジタンは盗賊だったわね。

 
「そうね、城に忍び込むぐらい、ジタンにはかんたんよね……」
 
 
わたしが目をふせると、ジタンは「あれっ……?」と気の抜けた声をだした。
 

「ひ、ひゃ〜、高いなぁ! 街があんなに小さく見えるぜ」
 
 
ジタンはわたしの隣へきて身を乗り出すと、巡らせた視線を広場の奥で止める。

 
「おっ、望遠鏡があるじゃないか。のぞいてみようぜ、ダガー!」
 
 
すっかり忘れていた存在に、わたしは少し躊躇いつつも手招きするジタンの後へ続いた。



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