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王女様に祝福を【FFIX】

第7章 交差する思い〜リンドブルム〜



ガーネットside.



護衛同伴でなら、と了承してもらえたお城探索は、思ったよりも楽しいものだった。

リンドブルム城へ来るのも久しぶりだったし、ふとした一角を昔の記憶と照らし合わせてみるのも面白い。

そんなわたしの様子に、護衛の方から「だったら……」と提案してくれたのは、城の見張り塔だった。

最上層まで上って、エンジンルームを抜けた先に、見晴らしの良い展望台のような場所があると言うのだ。


「わたくしどもも、見張り塔の当番がまわってくると嬉しいものです。ここは風が気持ち良く、見晴らしが良いですからな」


その言葉通り、建物から外へと足を踏み出したわたしは、その見晴らしの良さに思わずほぅとため息をついた。

雲と同じ高さの見張り塔からは、リンドブルムの城下町がとても小さく見える。


兵士が見張りをしている段からさらに上へと階段は続いており、その先には立派な望遠鏡が設置されているらしい。

護衛の兵士はここならばそんなに危険はないと思ったのか、気をつかってか、階段を上るわたしについてはこなかった。


上った先はちょっとした広場になっていて、その奥に例の望遠鏡が置かれている。


『素敵な場所だね。兵士さんがオススメするのも納得かも』

「そうね……確かに素敵な場所だわ」


広場は円状に石柱が建てられており、その周りを植木が取り囲む。

心地よく流れる風に誘われるように、わたしは広場の端へと歩を進めた。

石造りの塀から少し身を乗り出すと、流れる雲の隙間から城を取り囲む街並みがはるか遠くに見えた。


素敵だ。

眺めの良さは、アレクサンドリア城より上かもしれない。

城で多くの時間を過ごすわたしにとって、高い場所から街並みを眺めるということは慣れ親しんだことで、自分自身ぼーっと空なんかを眺めているのが好きだったものだから、いつもそんなことばかりしていた。

他にやる事と言えば、書庫にある物語に没頭することくらい。

寂しくないといったら……それは嘘になる。

だからそんな時は、歌を歌った。

寂しさを紛らわせるように、その歌が持つ温かさに身をゆだねるように。
 


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