第7章 交差する思い〜リンドブルム〜
ガーネットside.
特にすることもなく、再びベッドに座ると、ぼんやりと窓から覗く空を眺めた。
なんだか心がもやもやした。
別に街へ出られなかったからふてくされているわけではない。
そうではなくて……なんだろうと考えてみて、わたしはハッと立ち上がった。
わたしはなにをこんなに呑気に空なんか眺めているんだろう。
今もなお、他国へ進軍しようとお母さまが兵器を作っているというのに、なにをわたしはこんな所で呑気にしているのだろう、と慌てた。
思えば、シドおじさまがタンタラスに誘拐の依頼をしていたということは、わたしを安全なリンドブルムにかくまおうとしてくれたのだ。
これでは結局わたしは安全圏内で見ているだけで、おじさまがやってくれるままに、他人に任せているだけではないか。
それではわたしは何をやっているの?
何のために、わたしはいるの?
「わたしは……守ってもらうためにリンドブルムに来たわけじゃない」
お母さまを助けたくてここに来たのに。
自分の情けなさに力が抜けた。
再びベッドに座り込む。
『……ダガーがそんなに背負い込むことはないんじゃないかな』
今までわたしの心の内の嘆きを黙って聞いていたレイナが、ぽつりと呟いた。
しかし、わたしは素直にそれに頷くことができなかった。
わたしはお母さまの力になりたいのだ、そう伝えれば、レイナは再び話しはじめる。
『お母さんを助けたいっていうダガーの強い想いがあるからこそ、シドさんもあんなに親身になってくれるんじゃないかな? ダガーのお父さんの力ももちろんあると思うけど、絶対にそれだけじゃない。ダガーの頑張りは皆に伝わってるよ』
これだ。
レイナはこうやって、いつもわたしを暖かく励ましてくれる。
だからこそ、自分もなにかできないかと思ってしまうのだ。
そんなことを思えば、レイナはため息をついて『ダガーは少し気分転換をした方がいい』と言った。
『お城の中だったら、歩いても文句は言われないんじゃない?』
でも……今はそんな気分じゃ……。
わたしが渋るも、彼女が『そんな時だから、気分転換は必要なんだ』と強く訴えるものだから、わたしは軽く息を吐き出すと、兵士に伺いをたてに立ち上がるのだった。