第2章 家出騒動
一瞬の暗転の後に再び明かりがつくと、三対一で向かい合う男達がいた。
先ほどの凝った衣装の男と、部下と思われる二人。
その三人に向かい合う、バンダナを目深に被った男。
さっき始まりの挨拶をしていた凝った衣装の人が、コーネリアの父親レア王役だったらしい。
今作、コーネリアとマーカスの仲を引き裂く悪者役だ。
それじゃあ、バンダナの男がマーカスなのかな。
と見ていると、三対一と不利だったマーカスに友人三人が助けにきた。
「助太刀に来たぞ、相棒!」
一人は赤髪に額あてをしている男。
一人はトンカチを持ってずんぐりむっくりな体型の、ちょっと可愛いフォルムの男。
そして最後の一人は金髪でなんと尻尾が生えた男だった。
ふさふさと毛が生えた、猫のような尻尾は珍しい。
それに加えて、遠目からでも分かる整った顔立ちに、映える金髪は一際目立っていた。
あの金髪の人かっこいいな~。
さすが舞台俳優さんだね。
『レイナはあのような方が好みなのですか?』
茶化すような雰囲気ではなく、いたって真面目にそんなことを問われてしまって私は焦る。
好みっていうか、単純にかっこいいよね。
テレビで俳優さんを見てかっこいいと思うのと同じだ。
そんなことを考えていると、ガーネットから忠告が入った。
『そろそろ体調が悪いフリをした方がいいかもしれません』
そっか、この後それで席を立つんだもんね。
お芝居が思いのほか楽しくて、すっかり忘れてた。
あぶない。
お芝居を最後まで見れないのは少し残念だけど、私は体調が悪そうに表情を固くさせながら迫力ある戦闘シーンを楽しんだ。
そして赤髪の人と金髪の人がチャンバラ劇を始めた頃。
そろそろかなと思い、私はお腹を押さえながら席を立ったのだった。