第7章 交差する思い〜リンドブルム〜
ガーネットside.
おじさまがブリ虫になったことについて、オルベルタ様の口から聞かされていた話とは、本当の所は少し違っていたらしい。
レイナが『あちゃ〜』と声を出していたけれど、その気持ちはわからなくもない。
「すぐに2号機の建造にかかったが、この姿ゆえ、思うようにはかどらないブリ。我ながらなさけないブリ……しかし、ブラネ女王のことは、しっかりやるブリ!」
おじさまの話に少し呆気にとられていたわたしだったが、やはり気がかりはあって口に出す。
「でも南ゲートがこわれてしまってアレクサンドリアへは……」
「うむ、それなら大丈夫。復興作業はすでに始まったブリ。ゲートがなおったら、一緒にアレクサンドリアへ行くブリ」
わたし達がリンドブルムに到着したのは昨日のことだというのに、復興作業がすでに始まっているとはなかなかに早い。
さすがは機械技術を誇る国だと、わたしは改めて感心する。
それに、おじさまが一緒にお母さまの元へ説得に行ってくれるとなると、やはり心強かった。
「これできっとお母さまも目を覚ましてくれるはずです」
リンドブルムへ来て良かった。
南ゲートが直るのを待って、そしてそれからおじさまと一緒にアレクサンドリアにお母さまを説得しに行って……そうすれば、元の優しかったお母さまに戻ってくれるだろう。
と、ふと違和感が頭をよぎる。
うん? と首を傾げてみるが、違和感の正体は掴めない。
わたしはそのことを大して気にも留めず、その代わりに目の前で考え込んでいるおじさまに声をかけた。
「おじさま?」
「あ、あぁ……いや、劇場艇が落ちたと聞いた時はどうなるかと思ったが……バクーのヤツ、優秀な部下を持っているようブリ……」
優秀な部下とはジタンのことだろう。
そう言えば、ジタン、それにビビにも、わたしからはちゃんとしたお礼を伝えていなかった。
「彼らは今どこに?」
「商業区にある宿に泊まってもらったブリ」
仕方ないとはいえ、彼らとはずいぶん粗末な別れになってしまった。
再び会うことは叶うだろうか、とわたしは思いを巡らせるのだった。