第7章 交差する思い〜リンドブルム〜
ガーネットside.
それから、おじさまが何やら「見せたいものがある」と言い出したので、その言葉にわたしはついていく。
城の中層から一度外に出て、街を一望できるほどの見渡しの良さを誇る外通路をわたし達は渡って、隣の建物へと案内された。
「ここは……?」
建物に入ってしばらく、視界いっぱいに広々としたホールが映しだされた。
その大きな空間に向かってバルコニーのような出っ張りが作られており、そこから全体を見渡せるようになっているらしい。
そばに置かれた机の上へとおじさまは飛び乗る。
「ここが我がリンドブルムの魂とも言える飛空艇団のドックブリ」
「でも、このドックはからっぽ……」
わたしはきょろきょろと視線を動かしてみるけれど、飛空艇らしき影は一つも見当たらない。
「そう、この1番ドックは飛空艇の研究をするところでな……半年ほど前まではここには新型の飛空艇があったブリよ。“霧”を全く必要としない、画期的な動力機関を持っていたブリ」
半年前というと、おじさまが襲われてブリ虫になったという話と時期が合う。
「まさか、おじさまをおそった人たちがその飛空艇も盗んだ……?」
わたしが思い当たったことを口に出せば、おじさまは明らかに視線をずらして、ぶりぶりとぶつくさしはじめた。
「いや、そこなんだが、実は……城下町の酒場にかわいい娘がいてな……」
「それが、これと……?」
ずいぶんと言いづらそうにしている。
わたしが視線を向け続ければ、おじさまはくるりと背中を向けた。
「その娘を見て浮ついていたワシは、怒ったヒルダの魔法でこの姿にされたブリ。そして、皮肉にも“ヒルデガルデ1号”と名づけたその飛空艇で出て行ってしまったブリ」
「…………」
「それ以来、帰って来ないブリよ」