第7章 交差する思い〜リンドブルム〜
ガーネットside.
「その……レイナという者とは、今話すことはできるブリか?」
「わたくしと意思疎通をとることはできますが、おじさまと直接お話するとなると、意識が入れ替わった時でないといけません。今はわたくし、ガーネットが身体を動かしています」
おじさまは短い手でひげを撫でながらうなる。
オルベルタ様も頬に手を当て、「はぁ……」と難しい顔をしている。
「こんなことは聞いたことがありませんね」
「うむ、ワシもはじめて聞くことで驚いているブリ……その、入れ替わる条件とかはあるブリか?」
「それが、わからないのです。ここ最近だと眠った時は必ず……あとは頭を強く打ったときも入れ替わりました」
「ということは、昨日の姫は、そのレイナという者だったブリか?」
「ええ、レイナはブリ虫がとても苦手なので」
わたしが思わずくすりと笑ってしまうと、『その節はほんとすみません』とレイナは謝った。
おじさまも「あれはなかなか見事な倒れっぷりだったブリ」と笑う。
「ふむ、ではその事については、ワシの方でも少し調べてみよう」
「もしかすると、トット様ならばなにか知識がおありかもしれないですね」
オルベルタ様のこぼした言葉に、レイナが『トット様?』と反応する。
トット先生とは、わたしが幼い頃から色々なことを教えてくださった、とても優秀な学者様なのですが……。
「ですが、トット先生はもうアレクサンドリアにはいないのです。お母さまが辞めさせてしまって……」
「トット殿はなかなかに優秀な者だと聞いておったが……やはりあやつが亡くなって、ブラネ女王は変わってしまったようブリ」