第7章 交差する思い〜リンドブルム〜
「これはなんのさわぎだ?」
白髪のまじった男性はそこそこの歳に見えるのに、やけにすっとした背筋や丁寧な足運びから品の良さを感じる。
「はっ、怪しい者達が大公殿下との謁見を願い出まして。その上、天竜の爪にそっくりなペンダントを所持しており、ますます怪しいのです」
オルベルタ様なる人は、戦闘服ではなくさながら文官のようなゆったりとした衣服に身を包んでいた。
顔に刻まれた深い皺は彼の歩んできた豊かな人生をそのまま表しているようで、知的な印象を受ける。
その穏やかな瞳とぶつかると、オルベルタさんの表情があっと驚きに染まった。
「後はわたしが引き受ける、おぬし達は下がってよい」
「はっ!」
兵士達が去るとオルベルタさんはこちらに歩みより、私たちの目前で丁寧にお辞儀をした。
「失礼しました、ガーネット姫さま。さっ、どうぞこちらへ。大公殿下がお待ちかねです」
私がリンドブルムへやって来た理由を説明するまでもなく、目の前の彼は案内するように城内へ歩きだした。