• テキストサイズ

王女様に祝福を【FFIX】

第6章 放たれた刺客〜カーゴシップ〜




プスンプスンとガス欠間際のようなエンジン音を聞きながら、船をしばらく飛ばしていると、やがて巨大な建造物が見えてきた。
 
私達の乗っているような船が、何隻も建物に向かって飛んだり、出てきたりしている。

アレクサンドリアの空には、行き来する飛空艇の姿はそこまでなかったけれど、リンドブルムでは空の移動手段がかなり浸透しているみたいだ。
 
カーゴシップのすぐ横を、パラパラと音を立てながら、細長い船が通り過ぎていく。

 
「あれがリンドブルム城でありますか!? なんと巨大な……」
 
『リンドブルムはお城の中に街があるのよ』
 
 
ダガーの言葉どおり、巨大な建造物は、その周りをぐるりと頑丈そうな塀で覆っていた。

近づくにつれ、その塀の高さが顕著になる。


……これは大きい。

これなら、城下町すべてを囲んでいると言われてもうなずける。
 

『目の前に、大きなゲートがあるでしょう? あそこが空の玄関なの』
 
 
なるほど。

確かに、塀の途中にゲートのような、大きな門のようなものがあった。
 
さっきから感心しっぱなしのスタイナーと一緒に、私もうなずく。
 

「……おねえちゃん」
 
 
ふいに、ビビが顔をあげた。

 
「ボクと……あの黒魔道士って呼ばれた人達って……おんなじ……なのかな?」
 
 
ピシリと、空気が凍ったように感じた。
 
私は息をのむ。


先ほどまでの3号との戦闘を思い出す。

彼の放ったスパークによって、弾けとんでいった、黒魔道士達の身体。
 
黒魔道士達と、さらに言えば3号と……見た目だけで言えば、ビビは限りなく近い。
 
ビビも……彼ら同様、作られた身なのか……。
 
それに、3号は黒魔道士達を、黒魔道士兵と呼んでいた。

アレクサンドリアが兵器としてそれらを作っている、とすれば……。
 

そんな考えがちらつく。

ビビだって、思ったはずだ。

だから、今の今までずっと考えていた。
 

考えて、考えて、考えて……わからなかったんだと思う。

だから訊ねた。
 

そんなの……私だってわからない。

何て答えればいいんだろう……。




/ 389ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp