第6章 放たれた刺客〜カーゴシップ〜
ゲートの中はトンネルのように細長く暗い。
ビビの身体を操縦室へ引きずるジタン、二人の身体が、ぶわりとした風にとらわれた。
操縦室から見ていた私とスタイナーは、息をのむ。
「くっ……!」
船の外へ放り出されたビビの身体は、ジタンの腕一本に支えられていた。
ぶらりぶらりとビビの身体が揺れる。
高笑いが聞こえた。
ワントーン高いエンジン音が響く。
「ヤツであります!!」
私の横でレバーを支えるスタイナーが叫ぶ。
狂ったように笑う3号が、ビビに肉迫していた。
「我の存在理由ハ勝ち続けルことのみ!!!」
捕食動物のようにギラつく、その瞳の輝き様は狂気的とさえ思えた。
3号は、その手のひらにスパークを作りはじめる。
青白い球体は、周りの全てを飲み込むように大きさを増していき、この一撃で決めてやる、という3号の気迫が感じられた。
スタイナーがエンジンレバーを思いきり引いている。
『だめ……ふりきれないわ!!』
3号が、巨大なスパークから電光の尾を引かせながら、こちらに詰め寄ってくる。
目前には、ゲートの細い出口が見えていた。
あと、もう少しで出られるのに!
バチリッ、機械に予期せぬ電気が通った、そんな音が聞こえた。
「なっ!!」
大きくなりすぎた雷は、3号の乗った小型船に着火していた。
「我の存在理由ハ、我の……」
わずかな光の隙間にカーゴシップが身をすべらせると、背後で巨大な爆発音が響いた。