第6章 放たれた刺客〜カーゴシップ〜
ワントーン高いモーター音が近づいてきた。
やがてカーゴシップのエンジン音と混ざり合うと、騒がしい小型船が視界に入った。
霧の雲海には、高台の山々が、離れ小島のように頭をのぞかせている。
カーゴシップが山の出っぱりを右に迂回すれば、3号の乗る小型船も大きく右にカーブを描いてついてくる。
ふりきれない……。
無理をさせているエンジンが悲鳴をあげている。
「……南ゲートの扉が閉まりだしたな」
「だから言ったではないか!! 姫さま、やはり危険すぎます!! 今からでも遅くはありません。かじを反して下さい!!」
「おっさんがいつまでもうだうだ言っててどうするんだ! ダガー、このままゲートにつっこむぞ!!」
「だが、このままではヤツをふりきれないではないか!!」
3号の小型船が再び接近する。
船のへりで揺らめいていたとんがり帽子が風に飛ばされると、甲板に佇んでいたビビは、はっと顔をあげた。
「我の存在理由ハ勝ち続けルことのみ!!!」
3号は片手でスパークを作り出していた。
スタイナーが短く悲鳴をあげる。
ビビは、手のひらからファイアを発動させ、直撃した小型船が大きくバランスを崩し、後方に吹き飛んでいった。
南ゲートが目前に迫り、私はかじを握る手に力を入れる。
ぐらりと揺れたビビは、その場に倒れ込んだ。
「ビビ、あいつ……!」
ジタンが急いで駆け寄る。
小型船のエンジン音が耳に届く。
カーゴシップは、細まっていくゲートへとすべりこんだ。