第2章 家出騒動
最初に出会ったブリキの兵隊さんは、数少ない男の兵、プルート隊の隊長らしい。
名をスタイナーという。
女所帯だからか肩身の狭い思いをしてるみたいだけど、私は個人的に嫌いじゃない。
頭のかたそうな古風な喋り口調が私には結構ツボなのだ。
今も私の席の少し後ろに立って警護してくれている。
王家直属の騎士は、基本的にはこの二人。
アレクサンドリア城の主要人物を紹介するなら、この人も忘れてはいけないだろう。
ちょうど今、観覧席にやってきた人がいる。
ドスリとバルコニー中央に位置する大きなイスに腰かけると、取り出した扇子でその青色の顔を扇ぐ。
ガーネットが家出を決意した張本人であり母親でもある、ブラネ女王だ。
頭に特徴的な被り物をかぶったブラネさんは、女王であるためガーネットの母親であるわけなのだけど……
これがあまり似ていない。
とにかく大きい。
肌の色も違うし、なによりガーネットのような深窓の美女といった面影が全くない。
見た目の個性は強い方であるのは確かだ。
そんなことを考えていると、周りの証明が落ちた。
そろそろお待ちかねの劇が始まるらしい。