第6章 放たれた刺客〜カーゴシップ〜
黒のワルツ3号は三人の健闘により追い払われたようで、私の気持ちも少しだけど晴れる。
初めは戸惑った船の操縦も、機体を支えるだけとあって今では難なくこなせていた。
遠くの方に、行く手を阻むように高く連なる山脈が見える。
山脈の途中には、大胆にも巨大な門が取り付けられている。
あれが南ゲートだろう。
「南ゲートが見えてきたな!」
そう言って、明るく声をかけてくれるのはジタン。
戦闘で負った傷はポーションを飲むことで癒されたみたいで、激しい戦闘の後だというのにジタンは思ったより元気そうだ。
よかった。
「うん!」
「南ゲートは、飛空艇のために作られた巨大な国境の門だろ? だから飛行高度ギリギリに作られてる。つまり、あれをくぐるには、ちょっとした腕と度胸が必要になる……代わろうか、ダガー?」
ジタンに尋ねられ、私は目の前の甲板にいる、スタイナーとビビを見た。
スタイナーは、3号との戦闘で酷使した剣の調子を確認している。
ビビは……船のへりに引っかかって揺れている、とんがり帽子を見詰めている。
みんな全力を尽くして、3号と戦っていた。
私も、私に与えられた仕事を全力でやりきりたい。
「私……最後までやってみたい」
「そうだな……この船はゲートをくぐる予定にない船だ。下手すりゃ、閉じられてしまうかもしれない……でも、劇場艇で来たとき、チェックはあまかったからな」
ジタンは少し考えてから、にっと笑った。
「ま、たぶん、大丈夫さ、ダガー船長!」
「ありがとう!」
「……オンボロだけど、エンジン出力はなかなかのもんだな」
かじに対して、操縦者の後ろにむき出しのエンジン装置が配備されている。
私には詳しいことはわからなかったけれど、ジタンは多少知識がありそうだ。
ガシャガシャと忙しい音が響く。
「進路反転であります~っ!!」