第6章 放たれた刺客〜カーゴシップ〜
ジタンside.
「ぅらあっ!!」
さいわい、村で調達した十分な量のポーションがある。
回復する時間さえあれば、大丈夫だろう。
痺れる手足に鞭打って、腕を大きく振る。
が、こんな大ざっぱな攻撃では、簡単に防がれてしまう。
「ふんっ、雑魚が……おとなしくしていろ!」
大振りされる杖が、脇腹を直撃した。
「かはっ……!」
くそっ、痛てぇ……。
あばらを何本かやられたかもしれない。
船のへりに背中を打ちつけると、脇腹に鋭い痛みを感じた。
高笑いが響く。
見上げると、青白い球体を掲げたヤツが、高くからオレ達を見下ろしていた。
まずい……。
冷や汗がつたう。
ヤツの手から魔法が放れる、まさにその時。
宙に浮いていた3号の身体はがくんと傾き落下した。
魔法はオレ達に届くことはなく、甲板の床に穴を開けるにとどまる。
「なんだ……?」
ヤツの羽根が、ピシリピシリと氷に侵食されていた。
羽根の自由を奪われたからこその落下。
あれは……ブリザドか!?
倒れる3号へたたみ掛けるように、スタイナーが剣技を放った。
「サガク剣っ!!」
おっさんは3号から受けたダメージを回復せず、そのダメージ蓄積が相手への攻撃となる、サガク剣を使ったのか。
使うタイミングが難しい技だが、今回は見事上手くいったようだ。
つんざくような悲鳴が響く。
今の攻撃はなかなか効いたようだ。
しかし、おっさんもまた肩で息をしている。
ダメージがまだ身体に残っている証拠だ。
「くそォ……この雑魚どもがァ……!」
ギラつく瞳。
アイツ、まだ諦めてない……!
3号は立ち上がり、その手のひらに光を収束させようとしたが、炎に包まれその身を焼かせるに終わった。
ビビの方が魔法を発動させるのが早かったようだ。