第6章 放たれた刺客〜カーゴシップ〜
ハシゴを上った先、鉄製の蓋を開けると、風が髪を揺らした。
頭を出して覗いてみると、思ったとおりそこは甲板だった。
木製の床に上がりきり、後から上がってくるビビに手をのばす。
ここには多くの積荷が置いてあるようで、件のアレクサンドリアの模様の描かれた樽だけではなく、甲板の端は雑多な物で溢れかえっていた。
そんな広い甲板を見渡せば、ガラス窓の小部屋のようなものが目につく。
そこに、地下で作られていた、そしてここの従業員であろうとんがり帽子の彼らが集まっている。
やっぱり何かあったんだ。
近寄ろうとすると、後ろからビビの驚く声が聞こえた。
「あ……あ……」
「ビビ!!」
振り向くと、尻もちをついたビビの目の前。
とんがり帽子を被った人影が浮かんでいる。
その片手には背丈ほどの杖。
もう片方の手のひらには青くスパークした球体が輝いている。
雷が収束したようなそれが、ビビの足元に放たれた。
「ビビ! だいじょうぶっ!?」
「どんなヤツが2号を倒したかと思えば、貴様のような小僧とはな! この黒のワルツ3号の敵ではないわ!!」
姿、形が、乗船する前に襲われた、あの2号さんにそっくりだ。
自分のことを3号と呼んでいることからも、おそらくは仲間。
3号さんはその丈の長いコートを揺らして、高らかに笑った。
「姫よ、じゃまなやつらを始末するまで、そこで待っていろ!!」