第6章 放たれた刺客〜カーゴシップ〜
「ほら、いそいで!!」
やっぱり決心できない。
だってここまで来たのに、アレクサンドリア行きの船に乗るなんて。
「大丈夫だって。ほら、もう飛んじまうから早く!」
「でも……」
エンジンの音が響く。
気持ちが焦る。
どうしたら……。
「リンドブルムにつれていくって約束するよ」
下げていた視線を上げると、ジタンが真剣な眼差しでこちらを見詰めていた。
『……レイナ、ジタンを信じてみましょう』
決断したダガーの声に、後押しされるように頷いた。
「わかった、乗る!」
「飛ぶぜ!」
急いでハシゴを上り、ジタンのハシゴを掴む音も聞こえれば、ぶわりと風が吹き上げる。
身体で感じる独特の浮遊感。
原っぱと空との境界線が下がっていく。
もう、後戻りはできない……。
少しの不安は残るけれど、ジタンの言葉を信じよう。
再び決心して、上段のハシゴに手を伸ばそうとした時。
お尻になにかが当たった。
「ひゃっ!!」
「おっ! やわらかい」
「ジ、ジタン!? ちょっと……今お尻触ったでしょ!!」
「ちょっ、ダガー、暴れると危ないって!」
「信じらんない!!」
「だから、落ち着いて!」
私達がそんなやり取りをしている間に、飛空艇は大空へと飛び上がっていった。