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王女様に祝福を【FFIX】

第6章 放たれた刺客〜カーゴシップ〜




私が目覚めたのは、すでに2号さんが皆に倒され、いなくなった後だった。

頭痛に顔を歪めながら身体を起こすと、辺りの惨状に眉根を寄せる。

原っぱが所々禿げており、まだチリチリと炎が燻っている箇所もある。


「皆!!」


それになにより三人の息が荒くて、全身に負ったひどい怪我が戦いの壮絶さを物語っていた。


「今ケアルをかけるから!!」


順々にかけていくと、彼らの顔色が良くなっていくのが分かり、ほっと息をつく。


「ありがとな、ダガー」

「ううん、私の方こそ、ずっと眠ってたみたいで……一緒に戦えたらよかったんだけど」

「いや、むしろ眠っててくれてよかったよ。ダガーが怪我する所は見たくないからな」


優しい言葉をかけてくれるジタンに胸が締め付けられる。


『それにしても黒のワルツ2号……本当に、お母さまが放った者なのかしら……?』


確かに、あんな物騒な人をブラネ女王が放ったとは考えたくない。

私がダガーと同じことを口に出すと、スタイナーが全力で否定してきた。


「何をおっしゃいます! あのような者の言葉に信ずるところなどありませぬ! 王女というだけで不届きなことをくわだてる者共は城から離れるほど、いるものであります」

「私が姫だって気づかれてた……?」

「生まれもった高貴さはそうそう隠し通せるものではございませんからな!」


スタイナーは誇らしげに胸を張った。

……今はほとんど私の素丸出し状態だから、高貴さもなにもないと思うけど。


「そりゃ違うな……ダガーはこの村に来てから、ずいぶんと変わったと思うぜ? 問題はおっさんの態度だよ! “姫さま〜”って調子であっちこっち、うろついてるからさ!」


それは、あるかもしれないね。

スタイナーがまたもジタンに食ってかかっているけれど、ジタンは構わず「それで、」とこちらに向き直る。


「国境越えのことなんだけど……」

「うん?」

「こいつに乗せてもらおうと思うんだ」


すぐそこの飛空艇を指さし、ジタンは言う。

もちろんそれには私も大賛成だ。


「でも、その前に一回宿にもどらない?」


荷物を置きっぱなしだし……と提案すればジタンも頷いてくれる。


「じゃあ、宿に戻ろう……ビビ、オレのそばなら安全だからな?」


ビビはぎゅっととんがり帽子のツバを握った。
 


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