第6章 放たれた刺客〜カーゴシップ〜
ビビも無事箱から出られて、なぜか気絶していたスタイナーも起きて、私達四人は久々に顔を合わせることとなった。
少し離れた所に村が見える。
すぐ近くには、アレクサンドリアから脱出した時に使った劇場艇より一回り小さい、それでもなかなかの大きさの飛空艇が泊まっていた。
足元の原っぱにはさきほど畑で見た、あの変な模様。
もしかしたら、この模様は飛空艇が泊まるときの目印なのかもしれない。
そんなことを考えている中、私達四人の間を流れる空気はどんよりと重苦しかった。
発生源は主にビビだ。
地下でのことが、まだ彼の中で整理しきれていないのだ。
「姫さま、箱に入っていたとは、いったいどうなっておるのですか!? さてはこの男が、よからぬことをたくらんで……!」
「静かにして、スタイナー!」
「はっ!」
さきほど身体の痺れに悶えてしまった私がスタイナーに注意するのもなんだけど……
ビビが落ち込んだこの状況、どうするべきか。
ジタンに相談しようとこっそり近づくと、彼はビクッと体を揺らした。
「ジタン、私、ビビになんて声をかければいいのかな……」
『城とビビに関係があったなんて……わたし、思いもしなかったわ』
「…………とにかく、ビビのそばにいてやろう」
ジタンはそう言うと、軽く咳払いをしてからスタイナーへと振り向いた。
「おっさん、この飛空艇の行き先、知ってるか?」
「…………リッ、リンドブルムである」
じゃあこの飛空艇に乗れば、楽々リンドブルムに行けちゃうんだ!
けど答えたスタイナーは、なんか変な顔をしていた。
「そりゃ好都合だ! ……けど、誰に聞いたんだ?」
「あっ、あの岩小屋の老人にである! 問題はないのである!!」
岩小屋……視線をずらすと、村の反対側、少し遠くにちょっとした山のようなものが見えた。
あれかな?
村で見かけないと思ってたら……スタイナーあんな所に行ってたんだ。