第6章 放たれた刺客〜カーゴシップ〜
スタイナーside.
これだけ言えばさすがに口を割るだろう、そう思っての忠告だった。
しかし目の前の老人はまったく怯えることなく、ズズッとコーヒーをすするばかり。
「接収してどうなさる?」
「カーゴシップの時刻を言うように命令するのである! 教えるのだ〜〜〜〜っ!!」
コーヒーをすすった老人が、ふぅ、と息を吐いた。
「そんな一本調子ではままならぬことも多かろう?」
表情の読めない顔が、こちらを向く。
しかしそんなことを言われても、自分は間違ったことをしているつもりはないし、する気もない。
「ままなろうとなかろうと、正しいことをする、それが一番なのである!」
「ほう、おまえさんは正しいかどうかを判断できるというのだね?」
「正しいか正しくないかは誰にだってわかろう?」
そう、今の自分のやるべき事は、姫さまを城へ連れ戻すこと。
そのためにはカーゴシップの到着時刻をこの老人から聞く必要があるのだ!
ムンッと老人を見ると、ふぉっふぉっと笑い声をあげられ癪に障る。
「見た目に似合わず、お若いの」
「ええい、カーゴシップはいったい、いつ来るのである!?」
「そうさの、もうとっくに来ておる。積み込みも始まっておる時間だ」
「なぜもっとはやく言わんのだ〜〜〜っ!!」
まったく、こうしてはおれん!!
扉を勢いよく開き、はたと立ち止まって振り返える。
「かたじけない!」
一つ敬礼をすると、小屋を後にして再び村へと駆け戻った。