第5章 風車小屋に隠された秘密〜ダリ村〜
流れるタマゴを追いかけるように先へ進むと、やがてガラガラと大きな音と共に、ハムスターが回して遊ぶ車輪のようなものが見えてきた。
中には黄色い生き物が閉じ込められていて、その生き物は目の前にぶら下げられた食べ物に向かって永遠と走り続けている。
「チョコボに……ギサールの野菜」
「チョコボ?」
これが?
全身黄色くて、大きなクチバシがあって……なんだかダチョウみたい。
これがチョコボなんだ。
時折、クエェェエッ! と鳴き声を上げている。
「チョコボの走りが板を動かして、タマゴを移動させてるのか? あんな機械を使ってるんだったら、両方、機械にすりゃいいのに……」
「なんだか……かわいそうだね」
流れていくタマゴは、シュゴー、シュゴーと煙を吐く、これまたいかつい機械へと吸い込まれていった。
「これもまた変わってるな……“霧”を使ってるみたいだけど劇場艇の霧機関とは全く違う感じだ」
「劇場艇って霧が動力になってるの?」
「ああ、この大陸にある機械はたいていが霧で動いてるんだぜ」
「そうなんだ……」
この世界にはまだ電気はないのかな?
明かりもカンテラを使っていたり、あとは建物なんかも自然光をうまく取り入れる工夫がされているし。
地球でも電気が発明される前は石炭で汽車を動かしていたみたいだから、それと同じ感覚なのかもしれない。
製造過程がオープンになっているのはここまでで、私達は石で補強された通路を通っていくけれど、その間、ゴウンゴウンと派手な音は耐えず響いていた。
途中、機械が動いているであろう側に窓が付いていたけれど、中が見えそうで見えない。
「何か音が聞こえるけど……タマゴがかえってるのか……!?」
ドキドキと嫌な感じに胸がざわめく。
のどかな村の地下で、この世界でいえば最新設備の機械が、その存在を隠されるように稼動していて。
その機械は怪しげなタマゴを作っている。
なんなんだろう。
このタマゴは、なんなんだろう。
薄暗い通路を抜けた先、私達はそこに広がる光景に、目を見開いた。