第5章 風車小屋に隠された秘密〜ダリ村〜
誰かに会わないように、見つからないように、物陰を移動しながら通路を進む。
幸いなことにジタンがこういったことが得意みたいで、先頭をきって進んでくれたから、私はそこまで気を張り詰めていたわけではない。
ただビビの安否は気になって、私は心臓のあたりをぎゅっと縮ませながら、途中途中にある大きな樽や箱に視線を巡らせていく。
しばらく歩いていくとゴウンゴウンと腹に響くような重音が聞こえてきた。
慎重な足どりのジタンに続いていっそう明るい部屋へと入ると、そこにはのどかなこの村には似つかない、ゴツゴツとした大きな機械がそびえていて目を奪われる。
「なんだ、ありゃ?」
一歩一歩、吸い寄せられるように私は足を進めていく。
しかし、すぐそばからくぐもったすすり泣く声が聞こえて足を止めた。
「ジタン!!」
「どうした?」
「……泣き声が……」
再び耳をそばだてて、どうやら積まれた大きな箱のうち、人が入れそうなほどの長細い箱からその声が聞こえていることがわかった。
「……ビビ?」
「ジタン!?」
ビンゴ!
返ってきた声はビビのもの。
「ビビ、そこにいるの!?」
「待ってろ、今、出してやる」
箱の切れ目を探して、どうにかこうにか板を引っ張る。
「ひどい、なんでこんな箱なんかに……」
「え、えっと……」
「話はあとだ……ちょっと待ってろ〜〜〜〜開いた!」