第5章 風車小屋に隠された秘密〜ダリ村〜
『城……!?』
城……確かこの村はまだアレクサンドリア領のはずだから、お城っていうのはアレクサンドリア城のこと?
だとしたら、ダガーはとくに聞き過ごせないんじゃないかな。
「そうそう! 俺達はつくるだけ、ってことさ〜!!」
「わかった」
ふと身を潜ませていた樽に視線を向けると、そこに描かれる緑地の丸に白星のマークが目に入る。
“箱に入れて、城に送る”
さっき会話で出てきた箱って……もしかして?
『この樽の模様……これと同じ模様の樽を城で見たことがあります』
やっぱり。
『きっとここは、アレクサンドリアとなにか関係があるんだわ。ならば、それが何かをつきとめておきたい……だから……騒ぎとなるような行動をとらないでほしいの」
えっ……それってつまり……
「さ、来い」
「早く来いよ」
ダガーの頼みに逡巡していると、成人くらいの男性二人に連れられた、とんがり帽子の少年が現れた。