第5章 風車小屋に隠された秘密〜ダリ村〜
カン、カン、カン、カン。
「よいしょっと」
ハシゴを下りると暗かった視界にほのかな明かりが灯り、やがてそこそこの空間が広がって地面に着く。
そこはカンテラの明かりだけがついた洞窟のような場所で、辺りには雑多に物が置かれている。
地下に作られた倉庫、なのかな?
洞窟はまだまだ先が続いていて、なんだか怪しげだ。
「こいつは……ただの保存窟ってだけじゃなさそうだな」
「この先にビビがいるのかな?」
「かもしれない……ビビを捕まえたヤツがいるかもしれないから、慎重に行こうぜ」
わずかな明かりを頼りに、私達は薄暗い通路を進んでいく。
やがて複数の話し声が聞こえてきたのは、通路に置かれる大きな樽が目立ちだした時だった。
私達は影に身を潜め、会話に耳を澄ませる。
「なんで動いてるんだろ、コレ……」
「コレ、見つけたのって村長の弟さんだって?」
「らしいよ〜。兄弟ゲンカも終わったから、晴れて俺達の仲間入りだってさ〜」
「……弟さんって、あのバアさんと同じ考えじゃなかったっけ?」
「“畑をつぶすとは何事か!”ね? あんなの、村長とケンカしてたから言ってただけでしょ〜」
「人手も足りなかったし、いいんじゃないの〜? それより、コレ、早く箱に入れよう」
男性が二人でなにやら喋っているみたいだけど、なんだか物騒な会話。
さらによく聞こうと耳をそばだてると、聞き過ごせない単語がちらりとのぞく。
「……箱に入れて送れば城の連中が判断してくれるよ」