第5章 風車小屋に隠された秘密〜ダリ村〜
信じらんない!!
信じらんない!!
信じらんない!!
ゴキ〇リが畑の野菜にくっついてるとか、もうそれ前代未聞だから!!
ぎゃああ!! と払いのけたゴキ〇リ(ブリ虫)は、地面を蹴って再びこちらに飛んできた。
なんで!?
無我夢中でゴキ〇リから逃げ回ること数分。
私の身体は何かにポフリと受け止められた。
あれ、なんかこの感覚デジャヴ?
恐る恐る顔を上げると、そこには呆れ顔のジタンが。
ブリブリっ、
「ひぇっ!」
後ろから近づくヤツの気配に、ジタンの背中に避難すると、飛んできたヤツをグローブをはめた手で掴みどこかへ放りなげてくれるジタン。
ヤツは素直にそのままどっかに飛んでいった。
ほぅ、と息をつく。
ジタンは呆れたように振り返るとため息をついた。
「ダガーって本当にブリ虫が苦手なんだな。悲鳴が村の方まで聞こえてきたぜ」
「えっ、うそ!」
それはお恥ずかしい。
カッと熱が上った頬を思わず触ろうとして、自分の手にヤツが乗ったのだということを思い出してゲンナリする。
ああ、グローブ越しだけど気持ち悪かったな。
こう、ブリブリっと……あっ、これ思い出しちゃダメなヤツだ。
再びゲンナリしていると、ジタンが私のことをしげしげ見ていることに気がついた。
「えっと……なにかな?」
「いや、ダガー変わったなと思って」
「……虫は苦手だから」
「それだけじゃなくてさ……」
ジタンはうーんと考えると、ああ、と頷いた。
「口調、変えてるんだな! いい感じだぜ!」
「……ありがとう」
私はこっちの方が慣れてるから褒められるものでもないんだけどね。
でもジタンに笑顔でそう言われればやっぱり嬉しい。
「これからどうするかを決めるから、宿屋に戻ろう」