第5章 風車小屋に隠された秘密〜ダリ村〜
『なにをされているのかしら』
じっとおばあさんの手元を見ていると、私の視線を煙たそうにおばあさんがこちらを向いた。
その目が、なんか用か、と物語っている。
「えっと、なにしてるのかな、と気になりまして……」
「見りゃわかるだろ? こうやって野菜につく虫を取ってんだよ」
ふんっと鼻から息を吐くと、おばあさんは再び手元に視線を戻す。
この世界にもちゃんとモンスター以外の動物とか虫とかいるんだね。少し感慨深い。
『……虫は殺すのかしら?』
彼女の言葉を私が代弁すると、おばあさんがすごい勢いでこちらを向いた。
「それがどうしたね!? 虫だってモンスターと変わらないさね! 油断してると大事な売りもんをだいなしにされちまう!」
『うりもん?』
おばあさんの迫力に若干おののいていると、そのいじられていた野菜からぴょこん、と一つの影が飛び出て私の手のひらに乗る。
「ほら、いた」
ブリブリっ、
「ご、ご、ご、ご、」
ブリっ、ブリブリ、
「ゴキ〇リいいぃぃぃいい!!」