【うたの☆プリンスさまっ♪】あなたの全てが好きだから
第7章 打ち合わせ
「まだ台本はないのよね?」
「はい」
トキヤくんが返事をしてくれる。
「私たちが聞いているのは『スパイ』というテーマで舞台を行うこととここに書かれている物語のあらすじと登場人物の設定、出演者……そして、それぞれのTwitterを使用してもいいということだけです」
「ふんふん……なるほど……」
私はトキヤくんの話を聞きながら頷いた。ーーシャイニング事務所所属アイドルのTwitterは私もチェックしていた。社長からは私と同様にいきなり舞台をやると告知され、資料を渡されただけで詳しいことは何も知らないと全員が言っていた。また、劇団シャイニングの公演期間とそれに付随する練習期間はTwitterでファンと交流ができることになっている。
「楽曲は俺たちと桜さんが話し合って決めて行くことになっているね」
「そうね……」
つまり、楽曲を作ってレコーディングしてから物語を決めて行くということなのだろうか……。
(それだと遅い気がするけど……)
社長の考えていることは今でもよく分からない。分からないけど、彼のすることには全て意味がある。
(従うしかないわね)
「とりあえず……そうね……」
(どうやって話し合えばいいかしら……)
ー私の曲作りは少し特殊だ。相手に曲のイメージを歌ってもらったり、聞いたりしてそれに合わせて曲を書いていく。