【うたの☆プリンスさまっ♪】あなたの全てが好きだから
第7章 打ち合わせ
「……そんなの今更じゃない。そっちの2人は頭が良さそうだし、きっと勘付いているわ」
「……」
カミュくんは黙ってしまった。
「気を遣ってくれて……ありがとう」
私はできるだけ笑顔を作った。彼には作り笑顔だとバレていそうだが……。
「……じゃァ、そういうことで」
蘭丸くんは自己紹介はせず、資料をめくり始めた。
「おい、黒崎……」
「桜さんがいいって言ってるんだ。俺たちが口出しできることじゃねェだろ」
「……」
いつものように蘭丸くんとカミュくんが言い合いを始めたが、珍しくカミュくんが言いくるめられた。
「……それじゃあ、今度は私から……」
ほとんど初めて会うトキヤくんとレンくんに向き直った。
「水野桜です。シンガーソングライターとしても活動してます。今日はよろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
トキヤくんは礼儀正しく頭を下げてくれた。
「……自己紹介は済んだな。それじゃァ、話を始めるか」
「ええ」
蘭丸くんは社長から渡された資料を見る。
「それぞれ、きっと目は通してあるだろ」
「はい」
「もちろんだよ」
4人の元にも、私に渡された物と同じ資料が配られていた。内容は登場人物の設定とざっくりとしたあらすじ。