【うたの☆プリンスさまっ♪】あなたの全てが好きだから
第3章 思いがけないメール
控え室を出て、私は龍也さんに案内されて出口に着いた。
「龍也さん、ありがとうございました。先程はすみませんでした」
私は深々と頭を下げた。
「いや、俺は気にしてないから大丈夫だ」
龍也さんは昔から変わらない優しい笑顔で笑った。
「でも、どうしてあんな言い方をするんだ? お前と嶺二はもともと、学生の時からパートナーとして曲を作り上げてきた仲じゃないのか?」
「……龍也さんも知ってますよね? あの日のこと」
「……あァ」
龍也さんは悲しげに目を細めた。
「あの後、嶺二はQUARTET NIGHTの一員になって、活躍し始めて……」
社長から言われて、あの人そっくりな子と嶺二は同じグループになった。私はグループの曲を作るように社長から言われた。でも……。
「でも、私には無理でした……。昔を引きずりすぎたんです。だから……」
ー私は嶺二から……逃げた。
「……そうだったのか」
「はい……」
私は顔を俯けて目を細めた。ーーいつも思い出すのは学生時代のことばかり。それから先の未来のことなんて、私には考えることもできなかった。
「……さっき、ライブに来てるのは友達が好きだからと言ってたが……」