【うたの☆プリンスさまっ♪】あなたの全てが好きだから
第3章 思いがけないメール
「あー、うん」
嶺二はニコッと笑った。
「君に……シャイニング事務所に戻って来てほしいなと思ってさ」
「……は?」
ー今、なんて言った?
(シャイニング事務所に戻って来てほしい……?)
「嶺二! お前何言ってんだ!」
「レイジ、サクラに失礼だよ!」
「寿! 元はと言えばお前が……!」
「カミュくん!」
私は思わず、カミュくんが言おうとした言葉を遮った。
「……」
3人は黙った。ーーこれは禁句だ。嶺二に言ってはいけない。
「……嶺二」
私は嶺二に目線を戻した。
「社長にも了承済みだよ。龍也先輩もいいって言ってくれてる」
私は後ろを振り向いた。龍也さんは何も言わず、ただ私たちの会話を聞いている。
「……嶺二……」
「戻ってくるつもりはない?」
嶺二はまっすぐな瞳をこちらに向けてくる。
「……」
あの頃とは何もかもが違う。彼は変わった。悲しみと孤独を乗り越えた。
「……私は……」
ーでも、私は……。
「シャイニング事務所に戻るつもりは……ない」
私は俯いた。ーーあなたのように、前には進めない。あの頃のままで止まっている。
「……どうしても……?」
「……」
私は黙ったまま、頷くこともできなかった。